個人再生をしても車を残せるケースとは
個人再生をした場合、車は自分の手元に残るのでしょうか。
車は主要な移動手段として用いられるものなので、なくなってしまうと日常生活に支障が出たり、自分の財産状態を立て直すことが難しくなったりする場合も多いと考えられます。
もっとも、自己破産とは異なり、個人再生においては住宅や車を残したまま債務を減らすことができる可能性があります。
以下、個人再生をしても車を残せるケースについて見ていきましょう。
■個人再生とは
個人再生とは、債務を原則5分の1、最大で9割という割合で減額した上で、これを3~5年の間に分割払いで返済し、残りについては免除を受けるという内容の制度のことを指します。これは、裁判所への申立てによって行うことができます。
個人再生を行うことで債務を大幅に減らすことができますが、もちろんデメリットは存在します。主なものとしては、いわゆるブラックリスト入りをしてしまい今後5~10年の間新たにお金を借りることができなくなったり、住所氏名が官報に載ってしまったりすることが挙げられます。
■個人再生しても車を残せるケースとは
それでは、個人再生で車を残せるのは具体的にどのような場合なのでしょうか。
基本的に、個人再生をしたことで車を失ってしまうことはありません。
もっとも、ローンを支払っている最中の車については没収の可能性があります。
というのも、自動車ローンでも契約において所有権留保が定められている場合には、ローンを払い終わるまでは自動車の名義がローン会社に留保されます。そのため、ローンを払い終わるまで、自分の名義で自動車の登録ができないということになります。
この場合、個人再生によりローンの残金が支払不能になってしまうため、所有権の帰属するローン会社によって車が引き上げられてしまいます。
ディーラーや中古車販売店でローンの契約を行った場合は、所有権留保が多くの場合定められています。
反対に、銀行などにおいてマイカーローンの契約を行った場合は、所有権留保の場合にあたらないため、車の没収を免れることができます。
すなわち、ローンを完済した車については個人再生があっても手元に残すことができ、ローン支払い中の車については所有権留保のない場合にのみ手元に残すことができるということになります。
■所有権留保された車を手元に残したい場合
もっとも、所有権留保された車であっても、どうしても手元に残したい場合もあるでしょう。
そのような場合、以下の3つの方法によって車を守ることができることがあります。
●第三者弁済を依頼する
第三者弁済とは、自分以外の人(第三者)に交渉することで、代わってローンの残額を払ってもらうことを指します。
こうすることでローンが完済された状態となるため、その後に個人再生を行えば車の没収を免れることができます。
この際に注意が必要なことは、弁済は必ず第三者が行わなければならないということです。
個人再生の前に自分自身で車のローンだけを弁済してしまうと、特定の債権者だけに不公平な弁済を行ったとされ、法律の禁止する偏頗弁済となってしまいます。
また、本人だけでなく同居家族など生計を一体とする家族に依頼すると、本人による弁済と実質的に同一なものとされてしまうこともあります。
そのため、どのような者に弁済を依頼するかが非常に重要となってきます。
●ローン会社から別除権認定を受ける
別除権協定とは、ローン会社に将来の支払を約束する代わりに、自らは車の没収を免れることを内容とした協定です。
もっとも、個人再生で別除権認定がおりることはほとんどありません。
認定が実際におりるのは、運送などを生業としているために車がないと生計を立てることができないような場合に限られます。
このような場合には、車を没収してしまうと本人に収入がなくなってしまい結果的に他の債権者も困ってしまうため、偏頗弁済の禁止の例外としてローン会社への優先弁済の約束が認められることになります。
●個人再生をやめ、任意整理を行う
個人再生ではなく任意整理に切り替えて借金問題を解決するというのも一つの方法です。
任意整理では借金の元本の額は変わらない一方で、利息や遅延損害金などを免れることができるため、元本のみの返済を目指すことができます。
そして、任意整理においては、やむを得ない事情が認められれば、個人再生において絶対的に禁止されていた特定の債権者への優先弁済も許される場合があります。そのため債権者の認可を受けた上で自動車ローンのみを支払うことで、車を手元に残すことが可能です。
借金問題については様々な法律問題がつきまといます。また、借金返済のためにどのような手段を取るのが最善であるのか、自分ではわからない場合も少なくありません。そのため、弁護士への相談をお勧めしています。
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