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悪意の遺棄とは?具体例や慰謝料請求についてわかりやすく解説

■悪意の遺棄とは
悪意の遺棄とは、夫婦間の義務に正当な理由なく違反することです。

民法770条により、「配偶者に悪意に遺棄された」として規定された法定離婚事由の一つとなります。

ここでいう夫婦間の義務は、民法752条に定められた「同居義務」「協力義務」「扶助義務」の三つを指します。
同居義務とは、文字通り夫婦は同居していなければならず、正当な理由なく別居してはならないという内容の義務です。
協力義務とは、主に家事や費用の分担などにおいて夫婦は協力してこれを行わなければならないという内容の義務です、
扶助義務とは、夫婦は互いに助け合わなければならないという内容の義務です。この義務により、どちらかが病気やけがで動けなくなってしまった場合には、もう片方が費用を支出したり、面倒をみたりする必要があります。

夫婦の片方がこれらに違反した場合、離婚事由にあてはまりますから、もう片方には裁判における離婚が認められたり、慰謝料請求が可能になったりする効果が発生します。

 

■悪意の遺棄の具体例
それでは、具体的に悪意の遺棄となるケース、言い換えると上記の三つの義務に違反するケースとはどのような場合を指すのでしょうか。

以下、見ていきましょう。

 

●生活費を渡さない
悪意の遺棄の中でももっともメジャーなものであり、離婚理由全体の中でも第二位を占めるほどよく起こる事例となっています。

片方が家事のみを行っているような場合には、もう片方に生活費を渡してもらわなければ生活が困難になってしまいます。
また、両方が就労している場合にも、給与所得が多い夫(または妻)が給与所得の少ない妻(または夫)に生活費を渡さないような場合には悪意の遺棄が認められ得ます。
現状では女性よりも男性の方の給与が多く、主に女性が家事や育児に従事する場合が多いため、夫が妻に生活費を渡さないケースが多い傾向にあります。

 

●同居の拒否
正当な理由なく同居を拒む場合には、同居義務違反となりますので、悪意の遺棄と認められます。この場合、一人暮らしをしたり、実家に帰ってしまったり、愛人の下で生活をしていたり、家出を繰り返すなど、様々なケースが考えられます。

また、暴力などを用いて配偶者を無理やり追い出すような場合には、三つの義務のすべてに違反しますので、当然に悪意の遺棄となります。

 

●一方が全く働かない、家事を手伝わない
正当な理由もなく労働をしない、家事を分担しないという場合には、悪意の遺棄が認められます。

 

■悪意の遺棄における慰謝料請求
悪意の遺棄があった場合には、離婚における協議や調停・裁判の際に、慰謝料請求をすることができます。
ただし、この場合の慰謝料には、悪意の遺棄の時から三年という時効があるため、できるだけ早めに離婚請求とともに慰謝料請求を行うようにしましょう。

この際、義務違反に関する事情がどのようなものであったか斟酌してその額を決めることになります。

そして、得られる金額の相場としてはおよそ50~300万円ほどです。

自分が悪意の遺棄を受けているのではないかと思った場合、悪意の遺棄に当てはまるか確かめたり、離婚や慰謝料請求を有利に進めたりするためにも、弁護士への相談をお勧めしています。

 

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